前室の壁画は損傷が激しく見にくいですが,入口を振り返った壁にはアヌビスの姿があり,その横の壁には門の書の抜粋が書かれていた様です。入口の反対側の壁には,死者の書の一部とセネトゲームをするインヘルカウ夫妻の姿があります。反対側の壁には,歴代の王と王妃と王子たちの前にいるインヘルカウ夫妻の姿があったそうですが,今ではほとんど残っていません。前室の天井画は残りがよく,非常に美しいものです。
埋葬室奥の壁には,二人の息子ケンナとホルミンとともに表されたインヘルカウが,プタハとオシリスに二つの火鉢を差し出す姿が描かれています。
埋葬室左奥から,上の段には聖木イシェドの下で蛇のアポピスを殺すヘリオポリスの猫,ホルスを礼拝するインヘルカウ,オシリスの象徴のそばで,ミイラに心臓を与える儀式を行うアヌビス,不滅の命の象徴であるベヌウ鳥,死者に敬意を表して「ヘヌ」の姿勢をとる山犬頭の精霊たちが描かれています。また下の段には盲目の竪琴弾き,死者とそのインヘルカウ夫妻に蝋燭を捧げる豹皮の衣装を着けたセム神官,香炉と清めのツボを捧げる神官たちの姿があります。
埋葬室右では,ホルスとカァの間に座るインヘルカウ,口開けの儀式,ジャッカルの頭を持つ4人の精霊や蛇を礼拝する姿,アンクを持つ女神の姿が見られます。下段には,4人の孫たちとともにいるインヘルカウ夫妻にシャブティ(死者の代わりに来世の仕事を行うため,墓の中に置かれる小さな像)の箱などを捧げる神官の姿が描かれています。
円形の天井にも壁画が描かれており,左奥から,冥界の場所の説明図,ホルスの乗った船,イシス,トト,ケプリ,フゥとともに神の船に乗るインヘルカウ,ヒヒ頭(?)の神に火の湖へ導かれるインヘルカウ,否定告白のテキスト,トトに導かれ,オシリスの前に進むインヘルカウ,船に乗るインヘルカウ(アビュドス巡礼?),スカラベの襟飾り,墓から離れるインヘルカウ(死者の世界と生者の世界を自由に行き来することができるようになったという意味)の姿があります。
天井右には,奥からライオンと太陽,小丘の上の燕(燕はデイル・エル=メディーナの職人たちに敬われていた),死者の書に基づくリスト,プタハを礼拝するインヘルカウ,塔門型の厨子の上にいる自分のバァを礼拝するインヘルカウが描かれています。
入り口わきの壁面には,アメンヘテプ1世とイアフメス・ネフェルトイリの姿が描かれていましたが,現在その壁画はベルリン博物館に所蔵されています。
イアフメス・ネフェルトイリについては,こちらを参照ください。
入口
前室
アヌビス
アメンヘテプ1世とイアフメス・ネフェルトイリ
王と王妃と王子たちの前にいるインヘルカウ夫妻の復元図
天井
埋葬室
奥から見た埋葬室入口
入口の復元図
ベルリン博物館所蔵の壁画
プタハとオシリスに二つの火鉢を差し出すインヘルカウと二人の息子
聖木イシェドの下で蛇のアポピスを殺す「ヘリオポリスの猫」
インヘルカウとその妻の前で演奏する盲目の竪琴弾き。後ろのヒエログリフは歌詞で,その内容は地上に生きる幸せへの讃歌
死者に敬意を表して「ヘヌ」の姿勢をとる精霊
4人の孫たちとともにいるインヘルカウ夫妻にシャブティの箱を捧げている神官
夜の航海をしている太陽の船を引く4 匹のジャッカル
インヘルカウと対面している神官(そのうち一人は雄羊の頭のついた棒を手にしている)
冥界の場所の説明図
ホルスの乗った船
イシス,トト,ケプリ,フゥとともに神の船に乗るインヘルカウ
ヒヒ頭(?)の神に火の湖へ導かれるインヘルカウ
否定告白のテキスト
トトに導かれ,オシリスの前に進むインヘルカウ
船に乗るインヘルカウ(アビュドス巡礼?)
スカラベの襟飾り
墓から離れるインヘルカウ
(死者の世界と生者の世界を自由に行き来できるようになった)
ライオンと太陽
小丘の上の燕
死者の書に基づくリスト
プタハを礼拝するインヘルカウ
塔門型の厨子の上にいる自分のバァを礼拝するインヘルカウ
名前