王家の谷 Valley of the Kings

 カーター・ハウスとワセダ・ハウスを右手に見て,西へ真っすぐに進み,曲がりくねった道をしばらく行くと王家の谷の駐車場があります。 この先が王家の谷。その名が示すように,新王国時代の歴代のファラオの王墓が造営された場所です(例外的に一部高官の墓もあります)。 谷は,東谷と西谷に分かれており,今までに登録されている墓や竪坑の数は,64に上りますが,中には墓でないものもあるようです。これら…

続きを読む

ツタンカーメン王墓(第18王朝,KV62) Tutankhamen

 入場にはエクストラチケット(300EGP)が必要です。(2022年1月7日現在)  カメラチケットでは写真撮影できませんが,スマホなら撮影OKです。  1922年11月4日にハワード・カーター が発見しました。古代において1度盗掘を受けましたが,被害は軽微ですぐに再封印がなされていたようです。王の副葬品は,(一部大エジプト博物館へ移送済)エジプト考古学博物館に陳列されています。規模やプ…

続きを読む

ラメセス5・6世墓(第20王朝,KV9) Ramesses Ⅴ・VI

 入場にはエクストラチケット(100EGP)が必要です。(2022年1月7日現在)    ラメセス5世によって造営が開始されましたが,後継者のラメセス6世が自らの墓として奪い完成させた墓。後期ラメセス朝で,最も完成度の高い墓です。  通路の壁には,ラー・ホルアクティ神とオシリス神の前に立つラメセス6世の姿が描かれています。ここから4本の柱をもつ広間の壁まで,左手の壁には「門の書」が,また右…

続きを読む

トトメス3世墓(第18王朝,KV34) Tothmesis Ⅲ

高さ約10mの所にある入口までは鉄製階段を登ります。 階段を降り,深さ約5mのシャフトを通過すると,前室をへて2本の柱をもつ広間にでます。広間の壁面は装飾され,「冥界の書」から採った神々の名のリストが,夜の12時の時間順に整然と枠のなかに記されています。左手の狭い階段を注意して降りると,楕円形の玄室があります。ここには「冥界の書」が壁面に描かれています。この宗教文書は日没から翌日の…

続きを読む

アメンヘテプ2世(第18王朝,KV35) Amenhetep II

第18王朝時代の王墓の典型的プランをもつ墓。 通路と階段を降りていくと,シャフトがあります。壁面は未完成ですがケケルと呼ばれる帯状装飾が描かれています。未装飾の広間を通り,階段を降りたところが玄室です。中央には6本の柱が並び,王が神々と向かい合っている姿が表されています。 天井には黄色で一面に星が描かれており、壁には「冥界の書」が場面とともに記されています。 玄室奥の1段低…

続きを読む

トトメス4世墓(第18王朝,KV43) Tothmesis Ⅳ

 王家の谷に造営されたトトメス四世王墓には、トトメス三世王墓やアメンヘテプ二世王墓のような王が太陽神ラーとして夜の世界を航行し東の空から復活することを示した『アムドゥアト書』の壁画は描かれておらず、玄室は母岩がむきだしになっています。これは王の治世が短かったため施工が間に合わなかったと考えられます。玄室の前室のグラフィティ(落書き)には、ホルエムヘブ王の治世第8年以前に視察団によって盗掘で荒らさ…

続きを読む

ホルエムヘブ王墓(第18王朝,KV57) Horemheb

 装飾の施されていない階段と下降通路をまっすぐに降りていくと,シャフトがあります。左手の壁(A)には,王と神々の姿が描かれ,王はハトホル女神にワインを捧げています。壁(B)には,椅子に腰掛けたオシリス神の後ろに立つ,アヌビス神とホルス神の姿があります。壁(C)にも王と神々の姿が表されています。壁 (B)の横には,創建時には封印壁が切石によって構築されていたことを示す石が下部に残っています…

続きを読む

ラメセス1世墓(第19王朝,KV16) Ramesses I

第19王朝の創始者で,セティ1世の父であるラメセス1世の墓。 1817年10月,ベルツォーニによって発見されました。 規模は小さいですが素晴らしい出来栄えの壁画があり, 前王ホルエムへブの墓の壁画とよく似ています。 ラメセス1世は,元々一介の軍人で,ホルエムヘブによって エジプトの王座の後継者に選ばれました。 統治期間が2年足らずと短かったため,デイル・アル=メディーナの職人たちは …

続きを読む

セティ一世墓(KV17) 四本柱の間の詳細

セティ一世墓四本柱の間の柱のレリーフについて 柱1 正面 プタハと王 左 ホルスと王 背面 王とアヌビス 右 王とハトホル 柱2 正面 ラー・ホルアクティと王 左 シュウと王 背面 王とセルケト 右 王とイシス 柱3 正面 王とアトゥム 左 ネフティスと王 背面…

続きを読む

セティ一世墓(KV17) 六本柱の間の詳細

セティ一世墓の埋葬室前にある六本柱の間のレリーフについて 柱の配置図  墓などのレリーフでは,原則として,王(人)は入口から奥に向かって進むように配置されるのに対して,神は奥から入口に向かって進むようになっており,神の背中を追っていくと奥にたどりつく構造になっているそうです。  それを踏まえて,崩壊した柱5について推測すると,まず左には右向き…

続きを読む