王妃の谷 Valley of the Queens

 デイル・アル=メディーナから1kmほど西に,第17王朝から20王朝にかけての王族や高官の墓地があります。第19,20王朝を代表する王妃の墓があることから,ワディ・アル=マリカート(女王の谷)の名で呼ばれています。王家の谷の墓に比べると,全体的にプランは単純で,規模も小さく,壁画の保存状態もよくありません。現在までに約80の墓や竪坑が発見されています。  ネフェルトイリ墓を見た後では,すべての…

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ネフェルトイリ墓(第19王朝,QV66) Nefertari

2024年3月現在クローズ。 入場にはエクストラチケット(2000EGP )が必要です。  第19王朝時代ラメセス2世の第一王妃ネフェルトイリの墓。王妃の谷の中で最も壮麗なものであり,ラメセス2世が彼女を特別な存在として扱っていたことが窺えます。 いつ行っても団体客で大賑わいです。

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ネフェルタリ墓(第19王朝,QV66) Nefertari 階段、埋葬室、付属室

第二階段 埋葬室に通じる第二階段の上部には、 二つの大きな左右対称の場面が描かれています。 そこではネフェルタリは供物卓の前に立ち、ぶどう酒を満たした二つの儀式用の壺を、 二つの神のグループに差し出しています。 左側にいるのはイシス、ネフティス、 ネフェルタリのカルトゥーシュの上で翼を広げているマアト、 右側にいるのはハトホル、セルキス、マアトです。 この二つの場面に続いて、王…

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ネフェルタリ墓(第19王朝,QV66) Nefertari 入口、控えの間、布の間

入口 急な階段が墓の最初の部屋へ通じています。 その最初の部屋は正方形で控えの間と呼ばれ、東へのびて、 前室を通じて第一側室につながっています。 また北壁の東側から、埋葬室へ降りる第二通路がのびています。 入り口の廊下にはアーチ型の天井があり、 階段は墓の最初の部屋への出入り口につながります。 入口の柱とまぐさ石は、墓がネフェルタリのものであることを示しています。 左側の柱のテキ…

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ネフェルタリ墓(第19王朝,QV66) Nefertari 概要

ネフェルタリ 世継ぎの王女 王の偉大な妻 二つの土地の貴婦人 王妃の谷 ネフェルタリの墓へ向かう道 ネフェルタリ王妃の墓は、1904年にエルネスト・スキアパレリによって発見され、 多くの専門家からエジプトで最も美しい墓と称賛されています。 この墓は壁画の保存状態の悪化から1950年代には非公開になりました。 1986年になってようや…

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ティティ墓(第20王朝,QV52)Tyti

 ラメセス3世の妻であり,姉妹でもあったティティ王妃の墓。おそらくラメセス4世の母であったと考えられています。入り口には,女王の称号が描かれたテキストがあります。  ティティがプタハ神を崇拝しているやラー・ホルアクティ神の前で2つのシストラム(古代エジプトの楽器)を持っている姿が見られます。埋葬室の天井は金色の背景に繊細に描かれた白い星で飾られています。  王妃の墓らしく優美な壁画は美しいで…

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アメンヘルケプシェフ墓(第20王朝,QV55) Amenherkepshef

 ラメセス3世の息子であるアメンヘルケプシェフ王子の墓で,谷西端に位置します。この墓は,1903年から1904年にかけて行われたイタリア考古学調査隊の第2次発掘の際に発見されました。おそらく第20王朝末期には掠奪の対象となっていたようですが,壁画装飾の保存状態は完璧でした。浮彫りが優雅で洗練された様式を持つことから,この墓はカエムワセトの墓と同じく第20王朝美術の傑作の一つとされています。  …

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セトヘルケプシェフ墓(第20王朝,QV 43) Setherkepshef

 ラメセス3世の王子セトヘルケプシェフの墓。墓内部の壁面は,ススのため黒く変色しており,状態は良好ではありません。二つの通廊と前室,奥室が縦に一直線に並び,前室の東に副室をもつ構造をしています。通廊の壁面(A)には,セトヘルケプシェフ王子を従えたラメセス3世がオシリス神に捧げ物をしている場面が,また壁面 (B)には,ラメセス3世が,ラー・ホルアクティ神とイシス女神,ネフティス女神に祈りを捧げてい…

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カエムワセト墓(第20王朝,QV 44) Kaemwaset

 ラメセス3世の王子で,プタハのセム神官の称号をもつカエムワセト王子の墓。この墓は1903年2月に発見されました。後世に共同墓地として再利用されていたため,発見当時,通路は山積みの石棺でふさがれていました。洗練された技法で描かれた彩色浮彫りは素晴らしい保存状態を保っています。  通路には,左右に副室が付属しています。右壁にラメセス3世がプタハ・ソカル神に捧げものをする場面があります。左壁に王子…

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