デイル・アル=バハリ Deir al Bahri

 デイル・アル=バハリとはアラビア語 で「北の修道院」を表します。後の時代に,コプト教の教会として利用されたためにこの名があります。この地には,壮麗な神殿を伴う中王国第11王朝メンチュヘテプ2 世の墓と新王国第18王朝ハトシェプスト女王葬祭殿,また貴族の墓が存在しています。 見学時間:午前6時から午後5時まで

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ハトシェプスト女王葬祭殿 Mortuary Temple of Hatshepsut

 ハトシェプスト女王が,父トトメス1 世とアメン神そして自らのために捧げた神殿で,アメンヘテプ1世葬祭殿のあった場所に建立されました。アル=クルン(角) と呼ばれるピラミッド型の山の麓の絶壁を背景としています。ここからは正面左手に,ナイル川の向こうにカルナクのアメン大神殿の第1塔門を望むことができます。 第1テラス スロープを挟み南北に柱廊があります。南柱廊壁(A-B)…

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アサシーフ地区の貴族の墓

 ハトシェプスト女王葬祭殿への道路を進むと神殿の左手前に巨大な日乾レンガ製の建物跡が見えてきます。末期王朝時代にテーベで強大な力を握っていたメンチュエムハトとパバサ墓の上部構造です。メンチュエムハト墓は見学できません。  チケットはハトシェプスト女王葬祭殿のチケット売り場で購入します。チケット売り場には「ticket」という表示しかありませんが,窓口で「アサシーフとパバサ」と言えば売ってもらえ…

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パバサ墓(TT279) Pabasa 

 第26王朝プサメティコス1世時代のアメン神聖妻の家令パバサの墓は,20世紀末にエジプト考古庁の手で墓の修復が実施され一般公開されています。  入口から長い下降階段を降りると前室と6本の柱のある中庭があります。中庭の柱の南面にある養蜂の図は有名です。中庭の奥には,8本の柱をもつ広間があります。そこの壁画は,多数の彩色レリーフの細かな破片を使って修復されており興味深いものです。 …

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ケルエフ墓(TT192)の概要

 ケルエフは,アメンヘテプ三世の偉大なる王の妻であるティイ王妃の家令でした。 TT192は,ケルエフの「葬祭施設」(単に「墓」の用語よりも適切な用語)です。それは印象的で,巨大で,ケルエフ個人の力と富を示しています。理由は不明ですが,その場所が放棄されたとき,施設は完成にはほど遠いものでした。  現在「ケルエフの墓」と呼ばれているのは,中庭の東端にある入口と西側の柱廊玄関だけです。これは,元…

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ケルエフ墓(TT192) Kheref

 アメンヘテプ3世の後宮の長ケルエフの墓。ケルエフは,アクエンアテンの「宗教改革」が行われる直前の時期の貴族で,同期の大臣ラモーゼ (TT55 )とは異なり,アクエンアテンが都をテル・エル・アマルナに移しても,テーベから動きませんでした。  アサシーフ地区にあるこの墓は,中庭と二室から成る広大な墓です。前庭はかなり広く,いくつかの貴族の墓が作られており,その墓の入り口を見ることができます。 …

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ケルエフ墓(TT192)の詳細① 入口から中庭まで

入口  墓の入口へは,高い壁に挟まれた階段を降りていきます。ここの壁は滑らかにされておらず,碑文もありません。金属製の扉を開けて入場します。 入口のまぐさと脇柱 まぐさ  入口の上のまぐさには,二つの同じような場面が描かれています。古典的なスタイルで神々に供物を捧げるアメンヘテプ四世の後ろには,母親のティイ王妃がいます。王はケ…

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ケルエフ墓(TT192)の詳細② 西廊下南側

西廊下  ケルエフの墓の装飾のすべては,ここ西廊下と入口の通路に集中しています。現在残っているものは,当初の計画との関連はほとんどないことが理解できます。 西廊下,中庭からの入口 西廊下南側  これは,氾濫期(シェムウ)の2月の27日,アメンヘテプ三世の治世の30年目に行われた最初のセド祭に捧げられています。壁全体は,華やかな東屋の中に座って…

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ケルエフ墓(TT192)の詳細③ 西廊下北側

西廊下北側  この壁は,アメンヘテプ三世の第3回セド祭に捧げられており,ケルエフは王の統治の37年目にあたるセド祭を取り仕切っていました。最近まで,壁は2つの部分に分割されていました。向かって左側の入口の近くでは元の石の色が残っており,右側では,煤と汚れによって黒ずんでいましたが,クリーニングにより,黒住はほぼ除去されています。左側では,ケルエフは東屋で王と王妃ティイに敬意を表…

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ケルエフ墓(TT192)の詳細④ 列柱室まで

最初の列柱室への出入口と通路  さらに奥に続く入口は,まぐさのある直立物で囲まれており,ここはすべてが装飾されています。主軸に対して直角のこの枠は,両側の壁の前方,南よりも北の端に数センチメートルのところに立っています。わき柱の装飾は,装飾されていない追加の枠によって南壁と北壁の装飾から分離されています。この枠は,南側では主壁からさらに離れており,北側では北壁の配置に合わせてあります。通路は…

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