デイル・アル=メディーナ Deir al Medinah

 デイル・アル=メディーナの遺跡は,テーベ山の西斜面とクルナト=ムライの小さな丘にはさまれた小さな谷にあり,王妃の谷(南へさらに1キロほど 離れたところにある)や山の反対斜面にある王家の谷からも,そう遠くないところに位置しています。  デイル・アル=メディーナとは,アラビア語で「町の修道院」を意味します。これは,プトレマイオス時代の神殿がコプト教徒によって修道院として利用されていたこと…

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職人の町(集合住宅址) Workmen's Village

 デイル・エル=メディーナの職人の町(集合住宅址)は,新王国時代に王家の谷や王妃の谷などの墓の造営に携わった人々が生活していた村です。幅約50メートル,長さ約150メートルの範囲にわたって,壁で仕切られた部屋が背中合わせに続いていて, 巨大な長屋という感じがします。壁は,石を積んだ間に泥を詰めたもので,1メートルから1メートル半位の高さまで残っています。ここから山越えの道を歩いて,約30…

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デイル・アル=メディーナ神殿 Temple of Deir al Medinah

ハトホル女神とマアト女神の小神殿  ほぼ完全な形で残っているのは,ハトホル女神とマアト女神の小神殿で,プトレマイオス4世やその後の何人かのプトレマイオス諸王が前3世紀に造営されたものです。  2本の柱のある部屋の奥には,入口の間があり,三つの至聖所に続いています。至聖所のうち中央はハトホル,右側はアメン=ラー=オシリス,そして左側はアメン=ソカル=オシリスにそれぞれ捧げられて…

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デイル・アル=メディーナ墳墓群 Deir al Medinah Workmen's Tombs

 住宅址の西側斜面には第18王朝から 第20王朝時代にかけて,岩窟墓が造営されました。上部に建設された小ピラミッドの幾つかのものが再建されています。 センネジェム墓(TT1) Sennedjem インヘルカウ墓(TT359)Inerkhau アメンナクト墓(TT218)Amennakht ネベンマアト墓(TT219)Nebenmaat  カ…

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センネジェム墓(TT1) Sennedjem

 第19王朝時代,セティ1世とラメセス2世の時代の「真理の場の下僕」センネジェムの墓。1886年に,多数の副葬品とともに無傷で発見されました。  入口から階段を降りていくと,アーチ型の天井を持つ小さな埋葬室に出ます。埋葬室に通じる小さな入口は,本来,豪華な装飾のある木製の扉でふさがれていましたが,その扉はエジプト文明博物館に展示されています。この墓の壁画は,もっとも保存状態がよいものの一つです…

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インヘルカウ墓(TT359)Inerkhau

 ラメセス3世からラメセス4世の頃の「真理の場(王家の谷)」で働くデイル・アル=メディーナの職人の指導者,インヘルカウの墓。「テーベの西の真理の場所での職長」,「両国の主の作品の監督」という肩書をもっていました。  前室の壁画は損傷が激しく見にくいですが,入口を振り返った壁にはアヌビスの姿があり,その横の壁には門の書の抜粋が書かれていた様です。入口の反対側の壁には,死者の書の一部とセネトゲー…

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アメンナクト墓(TT218)Amennakht

 ラメセス2世の時代のデイル・アル=メディーナの職人。「真理の場の下僕」。ネベンマアト(TT219)とカエムテリ(TT220)は息子。 墓の入口は一つで,中に3つの埋葬室(TT218.TT219.TT220) を備えているユニークな墓です。  入口の階段を降りると,アメンナクトの墓室があります。黒いスス汚れが残りますが,ほぼ完全な保存状態です。壁画はパシェドゥのものに似ており,奥壁のホルスの…

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ネベンマアト墓(TT219)Nebenmaat

 ラメセス2世の時代のデイル・アル=メディーナの職人。「真理の場の下僕」。父はアメンナクト(TT218)。カエムテリ(TT220)は兄弟。 墓の入口は一つで,中に3つの埋葬室(TT218.TT219.TT220) を備えているユニークな墓です。入口の階段を降りると,アメンナクトの墓室があり,その奥壁の左下部から階段の先に,装飾の施されていない3つの墓共通の前室があります。ここから各墓の埋葬室に…

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カエムテリ墓(TT220)Khaemteri

 ラメセス2世の時代のデイル・アル=メディーナの職人。「真理の場の下僕」。父はアメンナクト(TT218)。ネベンマアト(TT219)は兄弟。 墓の入口は一つで,中に3つの埋葬室(TT218.TT219.TT220) を備えているユニークな墓です。入口の階段を降りると,アメンナクトの墓室があり,その奥壁の左下部から階段の先に,装飾の施されていない3つの墓共通の前室があります。ここから各墓の埋葬室…

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ナクトアメン墓(TT335)Nakhtamen

 ラメセス2世の時代のデイル・アル=メディーナの職人。「真理の場の下僕」。 山を登ったところにあり,墓は3つの部屋で構成されています。壁画はすべて黄色,赤,黒の顔料のみを使用して描かれています。 入口から深く急な階段を降りると前室があります。その入り口の壁には,スカラベが乗る船の図像が残っています。前室は,損傷を受けた部分が多く,また天井は未装飾です。供物を受けるナクトアメン夫妻の図像と,墓…

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